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# 麦わら帽子


ルーベンスは 忘却の河 怠惰の花園 さわやかな肉の枕 そこでは恋はできないが 生命力は絶え間なく流れこんで揺れ動いている 空を吹く風のように 海原の潮のように ---ボードレール「灯台」。

院長コメント: 17世紀バロック時代を代表するフランドルの画家ルーベンス(Peter Paul Rubens, 1577-1640年)が、両親の亡命先であった独西北部ジーゲンに6月28日誕生。ルーベンスの絵画は、動きの多い劇的な構図、人物の激しい身振り、華麗な色彩、女神像などに見られる豊満な裸体表現などが特徴。学生時代に画集を買った数少ない画家の一人で、その表紙を飾っていたのが「麦わら帽子」(シュザンヌ・フールマンの肖像---Le Chapeau paille "Susanne Fourman")。女性美を追求した丸々しい肉感性の中に、爽やかで凛々しい知性美も感じさせるルーベンス肖像画の代表作(1622年頃製作、ロンドン・ナショナル・ギャラリー 蔵)。
# ク―ベリックの御当地交響曲
 

世界的ヴァイオリン奏者ヤン・クーベリック (Jan Kubelík, 1880-1940年)の長男としてラファエル・ク―ベリック(Rafael Kubelik, 1914-96年)が6月29日チェコに誕生。20世紀を代表する指揮者の一人で、スメタナやドヴォルザークなど故郷チェコの音楽のほか、独墺系音楽が得意。クーベリックは20世紀後半の指揮者としては珍しく、オケの第2ヴァイオリンを指揮台右側に配置し、第1と第2のヴァイオリンを左右に分けて配置。モーツァルトの交響曲第41番などでは、音の立体的響きが効果的。

院長コメント: 14歳時にフルトヴェングラーとワルターの指揮に感銘を受け指揮者の道を歩んだク―ベリック、独墺系ではモーツァルト、ベートーヴェン、そしてワーグナーに名演を残しています。定番的なのは御当地ドヴォルザークの交響曲で、ベルリン・フィルを指揮しての交響曲全集(独グラモフォン、1966‐73年録音)がその代表ですが、若き日に名門ウィーン・フィルを指揮した交響曲第7番/第9番「新世界」も捨て難い演奏(英デッカ、1956年ステレオ録音)。


# イタリアの印象 "Impressions d'Italie"
 

フランスのオペラ作曲家シャルパンティエ(Gustave Charpentier,1860-1956年)が6月25日誕生。パリ音楽院でマスネ(Jules Massenet, 1842-1912年)に師事。今日では、管弦楽のための組曲「イタリアの印象」の作曲家として知られています。1887年から1890年にかけて作曲、初演は1891年。

院長コメント: 以前にも1-2回紹介させていただいた組曲「イタリアの印象」は恩師が好まれていた曲で、上京した1979年の夏、恩師の薦めでLPを購入。以後、年に数回は聴いていて細く長い付き合いとなりました。第1曲「セレナード」からして、マンドリンやギターを模したピッコロやハープの音色が、官能的な南イタリアの夜を彷彿とさせます。第3曲「騾馬に乗って」が最も有名。通常はフランスの名指揮者デルヴォー(Pierre Dervaux, 1917-92年)とパリ・オペラ・コミック管の演奏で楽しんでいます(英EMI, 1960年代前半録音)。昨年ヴォルフ(Albert Wolff, 1884-1970年)指揮パリ音楽院管のCDを購入(英デッカ、1955年ステレオ録音)。
# 私の名盤(64): モーツァルト交響曲第39番
 

モーツァルトの死の3年前にあたる1788年の夏、その日のパン代にも事欠くような貧窮生活の中、最後の3つの交響曲(第39番、第40番、第41番)がわずか2カ月の間に完成。そのひとつ交響曲第39番(K.543)は、1788年6月26日ウィーンに於いて完成。本作品のように木管楽器群にオーボエを欠くのは、モーツァルトの作品では例外的。ハイドン風の序奏で始まる晴朗な第1楽章。典型的なメヌエットである第3楽章ではクラリネットが魅力的な旋律を奏で、軽快で簡潔でユーモラスな終楽章へ。

院長コメント: モーツァルトの交響曲第39番のディスクは、ざっと数えただけでも十数種類はあると思いますが、最も想い出深い演奏はワルター(Bruno Walter, 1876‐1962年)指揮コロンビア響の演奏(CBS-SONY, 1960年録音)。ワルターの心の故郷ウィーンへの望郷の念が彷彿とする佳演。

# 私の名盤(63): 楽劇「ワルキューレ」 "Die Walküre"
 

「ワルキューレ」(Die Walküre)は、ワーグナー(Richard Wagner, 1813-83年)の代表作である楽劇「ニーベルングの指環」4部作の2作目。ワルキューレとは、作品中に登場する、大神ヴォータンが智の女神エルダ通じて生ましめた9人の女武者たち。ワルキューレたちの使命は、地上に英雄を捜し出してこれを天上にもたらすもの。台本は1852年6月、音楽は1856年にそれぞれ完成。1870年6月26日、バイエルン宮廷歌劇場にて初演。尚、指環4部作全曲の初演は、1876年8月13日から17日まで開催された第1回バイロイト音楽祭。

院長コメント: 1957年、英デッカによって録音されたクナッパーツブッシュ(Hans Knappertsbusch, 1888-1965年)指揮ウィーン・フィルによる「ワルキューレ」第1幕全曲、その演奏・録音ともに今なお最高と評価が高いもの。第1幕前奏曲からしてスケール雄大で彫りが深く、クナのワーグナーの世界へと引き込まれます。ジークリンデにフラグスタート(Kirsten Flagstad, 1895‐1962年)、ジークムントにスヴァンホルム(Set Svanholm, 1904‐64年)、フンディングにヴァン・ミル(Arnold van Mill, 1921-96年)。

 

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