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# 私の名盤(53): 鳩の使い "Die Taubenpost"
 

私は一羽の伝書鳩を飼っている その鳩は本当に忠実で誠実だ 目的地まで届かなかったことはないし 目的地を通り過ぎてしまったこともない 私はその鳩を何千回も放った 毎日毎日便りを運ばせて 沢山の愛する場所を越えて 恋人の住む家にまで---シューベルト「白鳥の歌---鳩の使い」。

院長コメント: フィッシャー=ディースカウ歌うシューベルトの歌曲集「白鳥の歌」は絶品。「セレナーデ」、「別れ」、「漁師の娘」、そして「鳩の使い」など唖然とさせる上手さ(英EMI, 1962年録音)。伴奏は名手ムーア(Gerald Moore, 1899-1987年)。シューベルトの歌曲集は、テノールにふさわしい曲趣が多いのですが、そういう固定観念を問題にしない卓越したFDの歌声。その秘密は、堂々とした体躯から生まれる幅広い音域の艶やかな美声もさることながら、詩の卓越した歌い回しにあります。古賀政男の名曲の数々をコブシを利かせて歌えそう。
# 私の名盤(52): シューベルト歌曲のすべて
 

20世紀ドイツが生んだ戦後最大の歌手フィッシャー=ディースカウ(Dietrich Fischer-Dieskau, 1925年ー)が5月28日ベルリンに誕生。独歌劇での活躍はよく知られるところですが、戦後の独歌曲復興への貢献度が最大の功績。

院長コメント: シューベルトの3大歌曲集の名唱は以前より定評あるところですが、気軽に最もよく取り出すディスクは「シューベルト歌曲のすべて」と銘打った録音。よく知られた歌曲を網羅したもので、かれこれ35年以上の付き合い。LPでは14曲、CDでは22曲を収録(英EMI, 1955-65年録音)。FDの才能と洗練された作品へのアプローチ、そして独語の美しさが堪能できる一枚。特に「野ばら」、「楽に寄す」、「鱒」、「水の上で歌う」、「きけきけ、ひばり」、「菩提樹」、そして「セレナーデ」あたりがお気に入り。
# アルベニス生誕150年


今年生誕150年を迎えるスペインの作曲家・ピアニストのアルベニス(Isaac Albéniz, 1860-1909年)が5月29日誕生。スペイン民族音楽の魅力をちりばめたピアノ音楽で最も知られる作品「イベリア」(作曲1906-09年)。これはスペイン音楽としてだけではなく、古今のピアノ作品の中でも傑作として演奏会でも取り上げられる機会の多い作品集。またギター用に編曲・演奏されています。

院長コメント: 組曲「イベリア」は、後年アルベニスの親友でヴァイオリニスト/指揮者のアルボス(Enrique Fernández Arbós、1863—1939年) により管弦楽編曲されたもの。「エボカシオン」、「セビリアの聖体祭」、「トリアーナ」、「港」、「坂の多い町」の5曲と、単独のピアノ曲から編曲された「ナバーラ」の6曲から構成。多くの闘牛士が生まれたトリアーナはセビリアの町はずれのジプシー部落、パソ・ドブレのリズムにのり色彩的南国情緒が盛り上がります。アンセルメ指揮スイス・ロマンド管による佳演で楽しんでいます(英デッカ、1959年録音)。

# ミュンヒンガー没後20年
 

シュトゥットガルト室内管を率いて、バロック演奏を中心に一時代を築いた名指揮者カール・ミュンヒンガー(Karl Münchinger, 1915-90年)が、5月29日独シュトゥットガルトに誕生。2010年は早いもので没後20年を迎えます。ライプツィヒ音楽院で指揮法を修行中、フルトヴェングラーの強い影響を受けています。第二次大戦後はシュトゥットガルト室内管弦楽団を結成し、1945年9月にデビュー公演。1951年に録音したヴィヴァルディの合奏協奏曲集「四季」のLPがベストセラーを記録、バロック・ブームの先駆けとなりました。1988年、73歳で引退するまで積極的な活動を展開し、1990年3月、地元シュトゥットガルトで逝去、享年74。

院長コメント: ミュンヒンガー没後20年の記念盤として弦楽セレナード集のCDが春にリリースされました。持ち味だった歯切れのよいリズムと堅固な構築感は、当盤に収められた4つの19世紀弦楽作品においても秀逸 (英デッカ、1975年録音)。

# 私の名盤(51): ヴァイオリン協奏曲の王者
 

1844年5月27日、ヨーゼフ・ヨアヒム(Joseph Joachim, 1831-1907年)によってベートーヴェン(1770-1827年)のヴァイオリン協奏曲が作曲者の死後17年を経てロンドンで再演され大成功。1806年に作曲されたベートーヴェン中期を代表する傑作の1つ。メンデルスゾーン、ブラームスの作品とともに三大ヴァイオリン協奏曲」と称されますが群を抜いた傑作。初演は1806年12月23日 アン・デア・ウィーン劇場。その後演奏される機会は極めて少ない作品でしたが、これを再び採り上げ、「ヴァイオリン協奏曲の王者」と賞讃されるまでの知名度を与えたのはヨアヒムの功績。

院長コメント: 20世紀を代表するヴァイリン奏者の一人シェリング(Henryk Szeryng, 1918-88年)がドイツの名匠シュミット=イッセルシュテット(Hans Schmidt-Isserstedt, 1900-73年)指揮ロンドン響をバックに残した録音は、端正で生命感に溢れ、この名曲を代表する至高の名演。ベートーヴェン特有の抑制された男性的美しさを感じさせます。LP時代、ジャケットが新しくなる度に合計3枚のレコードを購入しています(保存盤の意味合い含め)。冒頭に刻まれるティンパニのリズムは、この曲の基調であり、やがて気高さと幸福感に満ちたフィナーレへ(蘭フィリップス、1965年録音)。


 

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