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# G線上のアリア


11月30日は巨匠フルトヴェングラー(Wilhelm Furtwängler, 1886-1954年)55回目の追悼の日。死後半世紀を過ぎても、フルトヴェングラーのファンは絶えないようです。今年に入ってもSPやLP復刻盤が続々と登場。まさに驚くべき現象。

院長コメント: 1954年12月4日、フルトヴェングラーの葬儀がヨッフム指揮ベルリン・フィルが演奏する中、ハイデルベルクの教会で執り行われました。その一部は映像としてLD/DVD「フルトヴェングラー/その生涯の秘密」(1971年、独)で見ることが出来ますが、背景に流れるのがJ.S.バッハの「管弦楽組曲第3番」からアリア。今日はバウムガルトナー指揮ルツェルン弦楽合奏団の演奏で(独Eurodisc, 1977年録音)。

# RIAS(Rundfunk im amerikanischen Sektor)音源


歴史的音源について実績を重ねてきたドイツのレーベル/アウディーテ(audite)が、戦後フルトヴェングラーがベルリンで行ったコンサートのRIAS音源を集大成したCDセットを2009年リリース。ドイチュラント・ラジオに眠っていたオリジナル・マスターテープに細心のリマスタリングを施したもの。アウディーテは、これまでにもRIAS音源の高水準なCD化で話題を提供。RIASとは、西ベルリンの米軍占領地区にあった放送局のことで、1945年から活動を開始し、1994年にドイチュラント・ラジオに発展的改組するまで存在。

院長コメント: まるでFM放送ライヴを聴く感じ、という評に心動かされ購入。従来より歴史的音源には馴染んできた私の耳にもその意味がわかりました。全曲聴いたわけではありませんが、その音の清澄さはまさに海外FM放送。一枚、一枚じっくりと聴き込むのが楽しみなボックス・セット。
# 愛の妙薬(L'elisir d'amore)


ロッシーニなどと共に19世紀前半のイタリアを代表する歌劇作曲家として人気を博したドニゼッティ(Gaetano Donizetti, 1797- 1848年)が、11月29日伊ベルガモに誕生。その代表作「愛の妙薬」は1832年ミラノの劇場で初演。

院長コメント: テノールが歌うアリア「人知れぬ涙」(Una furtiva lagrima)。スゥエーデン生まれの万能テナー、ニコライ・ゲッダ(Nicolai Gedda, 1925年ー)の歌唱で初めて聴いた思い出深い曲です。しかし「愛の妙薬」とは洒落た言葉ですが、処方はままならぬところです。

# マグネトフォン・テープ(Magnetophon Tape)
 

ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」が1811年11月27日初演。往年の名ピアニスト、ギーゼキング(Walter Gieseking, 1895-1956)の弾く「皇帝」は、粒の揃った冴えわたるタッチによる明快な演奏。以前発売された時は、1944年秋の録音とされていましたが、正式な録音年月日は1945年1月23日。大戦末期、戦時下ベルリンでのマグネトフォンによる試験的なステレオ録音。クラシック音楽のまとまった作品のステレオ録音としては、現存する最古のもの。予想をはるかに上回る高音質。当時のドイツの技術水準の高さを改めて確認。伴奏をつとめるのは、アルトゥール・ローター指揮ベルリン帝国放管。

院長コメント: マグネトフォン・テープ(Magnetophon Tape)は、1930年代、ドイツで開発された磁気テープを用いた世界初のリール式テープレコーダー。主に独墺の放送局で使用。最初の録音は、1936年、ビーチャム卿指揮ロンドン・フィルによるモーツァルトの交響曲第39番。結果はかんばしいものでなく、1944年、R.シュトラウスがウィーン・フィルを指揮した一連の録音で成果。最も有名な録音がギーゼキングの「皇帝」とカラヤン指揮プロイセン・シュターツカペレ・ベルリンによるブルックナーの交響曲第8番終楽章で、何れも試験的ステレオ録音(墺KOCH, 1944年9月29日録音)。

# クリーンなモーツァルト!?


モーツァルト弾きとして我が国でも人気があったオーストリアの名ピアニスト/ワルター・クリーン(Walter Klien, 1928-91年)が11月27日墺グラーツに誕生。ウィーン音楽アカデミーに学び、1950年代半ばからピアニストとして国際的に活躍。1969年には米国デビュー。純度が高く澄んだ音色と、古典的で端正な演奏様式は、多くのモーツァト・ファンの支持を得てきました。

院長コメント: 独墺古典派からロマン派を中心にしたレパートリーが得意なクリーンですが、昔から馴染みがあるのはやはりモーツァルト。ベルギーの名手グリュミオー(Arthur Grumiaux, 1921-86年)とのモーツァルトのヴァイオリン・ソナタ集が遺されています。ハスキル盤との比較は別にして、その洗練された表現と品性豊かな音色は、今なお高く評価できます(蘭フィリップス、1981-82年録音)。


 

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