2009-07-31 : 00:30 : ueta-fukuda

レコード(CD)は、文字どおり記録であって、演奏そのものではないという見方がある---だが、記録が、そのままで真に貴重な演奏となる唯一の例外がある。この「バックハウス最後の演奏会」のような。冒頭の「ワルトシュタイン」を聴きながら、幾度か私は息をのんだ。バックハウスには、珍しく、所々ミス・タッチがあることよりも、そのテンポの早さにである。何か、己の生命の絶える時間を知っていて、死に急ぐ早さのような気がした---五味康祐「バックハウスの思い出」。
院長コメント: バックハウス最後の演奏会で、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第18番第4楽章が省略されています。第4楽章は音楽批評家が「ドイツ人の一種のタランテルラ舞曲」と呼んだ流動感溢れたリズムに乗って疾駆する狩のソナタの旋律で開始。バックハウスは、この楽章の極めて明るい、華麗な、光り輝く美しさのうちに、生の喜悦の躍動するその音感を、遂に表現しきれぬことへのピアニストとしての良心から、演奏を中止したように思える、と五味は言っています。五味康祐(1921-80年)は「柳生武芸帳」など剣豪小説で知られた作家。クラシック音楽通、またオーディオマニアとしても有名。写真はバロックの見事な美しさに満ちたオシアッハ湖畔シュティフト教会(Ossiach Stiftskirche)。
2009-07-30 : 00:30 : ueta-fukuda

1969年6月、「ケルンテンの夏」と銘打った音楽祭は、ドイツ音楽の巨星バックハウス(Wilhelm Backhaus, 1884-1969年)を迎えてのこけら落としで誕生。同時に、この音楽祭はバックハウス自身の告別リサイタルとなりました。演奏会終了1週間後の7月5日に逝去、享年85。今年はバックハウス没後40年目の夏を迎えました。
院長コメント: バックハウスを迎えて誕生した音楽祭「ケルンテンの夏」は、1969年以後今日まで40年間にわたり続いています。演奏会場となったのは、墺南部アルプス山麓ケルンテン(Carinthia)高地の観光地オシアッハ湖畔にあるシュティフト教会(Ossiach Stiftskirche)。バックハウス最後の演奏会の模様は正規録音がありますが、途中心臓発作のため演奏は一時中断。その痛々しいまでのピアノ演奏は今や伝説となりました(英デッカ、1969年6月26日/28日ライヴ)。まさに倒れて後止む、ピアノ演奏に生涯を捧げたバックハウスでした。
2009-07-29 : 00:24 : ueta-fukuda

ドイツのテノール歌手・指揮者のペーター・シュライアー(Peter Schreier, 1935年-)が、7月29日独ザクセン州マイセン(Meißen)に誕生。彼は戦後最高のモーツァルト指揮者であるベームの下で、数々のモーツァルト作品を歌い、彼自身もまた最高のモーツァルト歌手と評されました。2005年末、歌手生活から引退。以後は指揮に専念。
院長コメント: シュライヤーのシューベルト歌曲集では「美しい水車屋の娘」が重要なレパートリー。1971年から89年まで4回にわたり同曲を録音。今から33年前、お金がない学生時代に廉価盤でないシュライヤーの初回録音LP(独Schallplatten)を購入しています。その当時「水車屋の娘」への熱い思い入れがあったのでしょう。写真は世界的に知られるマイセン磁器。
2009-07-28 : 00:27 : ueta-fukuda
# 集団抗争時代劇

時代劇の傑作「十三人の刺客(しかく)」(1963年、東映)の監督・工藤栄一(1929-2000年)が7月17日北海道苫小牧に誕生。1960年代半ばといえば時代劇ブームの末期。その中で集団抗争劇へ移行し、「十三人の刺客」、「大殺陣」(1964年)などが作られました。
院長コメント: 明石藩50万石の横暴な藩主を狙う刺客たち。舞台は中仙道の宿場・落合宿(おちあいじゅく)。その物語の展開をサスペンス絡みのドキュメンタリー・タッチで描いた作品が「十三人の刺客」。最後の入り乱れた殺陣シーンよりも、朝靄にけぶる中、藩主以下50騎以上の侍たちがひずめの音を響かせながら刺客たちが待ち構える宿場へ迫って来るまでの展開が圧巻。落合宿は中山道44番目の宿場(中山道六十九次)で、現在は岐阜県中津川市。似たような路線に「十一人の侍」(1967年、東映)という作品もあります。写真は落合宿本陣跡。
2009-07-27 : 00:08 : ueta-fukuda
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パルジファル: 草原が今日は何と美しく見えることか。私はかつて不思議な花に出会い、その花は情欲をもって我が頭にまといつたが、このように優しい茎や花は、私は見たことがない。すべてが無邪気に優しく匂い、親しげに私に語りかける。
グルネマンツ: これこそ聖金曜日の奇蹟です---ワーグナー「パルジファル」より“聖金曜日の音楽”。
院長コメント: 聖金曜日(Good Friday)とはキリスト教用語で、復活祭前の金曜日のこと。聖金曜日は復活祭にあわせて移動するので、最も早い場合で3月20日、遅い場合だと4月23日。カトリックのみならず、多くのプロテスタントの教会でもこの日に特別な典礼を行っているとのこと。
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