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# フルトヴェングラー追悼


1954年11月30日、フルトヴェングラー(Wilhelm Furtwängler, 1886-1954年)逝去。今年は54回目の追悼の日となります。死後半世紀を過ぎてもフルトヴェングラーが残した録音が、次から次へと手変え品変え毎年市場に出回り、クラッシック音楽界では異例のことといえます。今年は“ブラームスの一夜”で亡き巨匠を偲びました。1952年1月27日、ウィーン楽友協会大ホールにおけるライヴで「ハイドンの主題による変奏曲」に始まり、「ヴァイオリン、チェロとオーケストラのための協奏曲」、そして最後に交響曲第1番というプログラム(ロートヴァイスロート録音)。

院長コメント: フルトヴェングラーのブラームス観の一部を紹介します---ブラームスの母体である民衆・民謡は、ドイツのものであります。彼の業績は、ひとえにドイツ的気質によるものでした(略)苦味と甘味、外的な閉鎖性と内的な開放性、幻想性と充溢、自己抑制と厳格な偉大さを宿す彼の芸術は、まさにドイツ的であります。ブラームスとは、この意味においてドイツ音楽の世界的価値を今一度疑う余地なき明確さのうちに万人の眼前に提示した最後の音楽家であったのです (「音と言葉」芦津丈夫訳、白水社刊)。 
# 静かなる詩情
 

ヴィルヘルム・ハンマースホイ(Vilhelm Hammershøi,1864–1916年)は、デンマーク/コペンハーゲン生まれの画家。空間を意識し、空気を感じさせる繊細な筆致で描いた室内画が印象的。その多くは背を向けた人物が描かれていますが、生活感を感じさせるものがほとんどなく、その絵は画題以外、動機の手掛かりがほとんど排除されています。白と黒を基調としたモノトーンに近い色使いと、フェルメールの影響を受けた静謐さが特徴的と評されています。

院長コメント: 9月30日から12月7日まで上野の国立西洋美術館で「静かなる詩情」と題して大々的にハンマースホイ展覧会が開催されています。確かに生活の匂いを感じさせないモノトーン的な絵には、暗さとは違う一種の静謐さが漂います。写真は「背を向けた若い女性のいる室内」(1904年頃)、「ピアノを弾く若い女性のいる室内、ストランゲーゼ30番地」(1901年)。

# 皇帝
 

ベートーヴェン(1770‐1827年)のピアノ協奏曲第5番「皇帝」は1809年に完成され、1811年11月28日、ライプツィヒのゲヴァントハウスにて初演。「皇帝」という呼び名は作曲者自身がつけたものではありませんが、曲そのものがもつ堂々とした構想と感銘の崇高さから「皇帝」という称号を与えられたようです。

院長コメント: 昔からよく聴いているのは、ベートーヴェン弾きとして定評のある二人の演奏、即ちウィーン・フィルをバックにしたバックハウス盤(Wilhelm Backhaus, 1884-1969年)2種類(英デッカ、1953年/1958年録音)、そしてベルリン・フィルをバックにしたケンプ盤(Wilhelm Kempff, 1895-1991年)2種類(独グラモフォン、1953年/1961年録音)。また、フルトヴェングラー指揮フィルハーモニア管をバックにしたエドウィン・フィッシャー盤(Edwin Fischer, 1886-1960年)も捨て難いところ(英EMI,1951年録音)。写真は最初に購入した思い出深いバックハウスのLP。

# カフェインと妊婦


英国からの大規模前向き観察研究から---1日にコーヒー2杯(1杯のカフェイン含有は100mg前後)程度であっても、カフェイン摂取と胎児の発育遅延リスクの関係が有意になることを示唆(BMJ誌電子版)。研究者らは2003年から06年まで、英国の妊娠8‐12週の低リスク妊婦2635人を登録。平均年齢は30歳。妊娠前4週から出産までの全ての摂取源(食物と薬剤)からのカフェイン摂取量を計算。主要転帰評価指標を胎児の発育遅延に設定。カフェイン摂取源としては、紅茶が62%(さすが英国)、コーヒーが14%、コーラが12%、チョコレートが8%、ソフトドリンクが2%など。その結果、妊婦のカフェイン摂取は、胎児の発育遅延リスク上昇と関係。200mg/日以上摂取したグループでは、100mg/日未満のグループに比べ、産児の体重が60‐70g低下。妊婦のカフェイン摂取は、喫煙・飲酒で調整しても胎児の発育遅延リスクの上昇と関係しており、この現象は妊娠期間を通じて見られたとのこと。妊娠を望む女性には、妊娠前から出産までの全期間にわたってカフェインの摂取を極力控えるよう注意を喚起する必要ありとの結論。

院長コメント: 以前も妊婦とカフェイン摂取についての負の報告がありました。健全な子供を産むには何事につけ節制が肝要なようです。写真はピカソ画。

# ロマンティックなアポロ的協奏曲
 

ドイツの名ピアニスト/コンラート・ハンゼン教授(Conrad Hansen, 1906-2002年)が11月24日誕生。14歳で、エドウィン・フィッシャーに師事。フルトヴェングラーとのベートーヴェンピアノ協奏曲第4番の演奏でレコード史上に名を刻みました(露メロディア, 1943年10月30日ライヴ録音)。コンサート・ピアニストというよりも、1933年以来音楽教育に尽力したことで知られています。教授に師事した日本のピアニストも多く、訪日して指導にもあたりました。

院長コメント: ハンゼンを独奏者に迎えたベートーヴェンのアポロ的作品・ピアノ協奏曲第4番は、フルトヴェングラーが残した数多い録音の中でも特に傑出したディスクのひとつ。ハンゼンのロマンティックで精神的アプローチは、ベートーヴェン弾きとして名高いバックハウスをも凌ぐ出来栄え。また、チャイコフスキー生誕100年を記念して、ベルリンでピアノ協奏曲第1番の演奏会が開かれた時の録音も聴くことが出来ます。伴奏はオランダの巨匠メンゲルベルク(Willem Mengelberg, 1871-1951年)指揮ベルリン・フィルという貴重な組み合わせ(英Biddulph, 1940年7月11日ライヴ録音)。



 

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