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# アリベデルチ・ハイC “Arrivederci High C”


エンリコ・カルーソー以来、世界的にいい意味での大衆的人気をかち得たイタリアのスーパースター、ルチアーノ・パヴァロッティ(Luciano Pavarotti、1935- 2007年)が今月6日逝去しました。享年71歳。“神に祝福された声”と評された申し分ない声量、輝かしい高音を持つリリック・テノールとして彼は名声を確立し、「キング・オブ・ハイC」という異名をとるに至りました。パヴァロッティは元来、リリコ・レッジェーロ(叙情的で軽やかな表現に適した声質)と呼ばれる声質のテノールでした。

副院長コメント: パヴァロッティは、モナコ、ステファノ後のイタリアを代表するテノールですが、1990年ローマで開催されたワールド・カップを機にサッカー好きの3人、パヴァロッティ、ドミンゴ(Placido Domingo, 1941年-)、カレーラス(Jose Carreras, 1946年-)が集合した「三大テノール」の世界的ヒット以来、わが国でもすっかりお馴染みとなりました。この三大テノール・コンサートでのこぶしをきかせた「オー・ソレ・ミオ」は抜群。私の32歳の誕生日にパヴァロッティのナポリ民謡集LP(英デッカ、1977・1979年録音)を購入していますが、この頃から歌劇・歌曲はドイツ音楽へ傾倒していったため、イタリア物とは疎遠となりました。合掌。

# 健康帝国
 

文芸春秋10月号に養老猛司氏(解剖学者)と山崎正和氏(劇作家)の対談 “変な国・日本禁煙原理主義”が掲載され興味深く読みました。官主導の「健康増進に努めるのは国民の責務である」とした健康増進法。これは“健康は国民の義務である”とし、煙草撲滅キャンペーンを世界で初めて展開した1930年代の独第三帝国に類似します。“健康はすべてに勝る”はナチスのイデオロギーを最もよく表す標語で、その根底には国家の排他的健康ユートピア構想がありました。既に70年前のドイツでは、法的規制により公的場所での禁煙、また禁煙車両を設ける政策が実施されています。予防医学の重視もこの時既に開始されており、アスベストの発ガン作用も警戒していたことは驚異です。長くなるので本日はこれまで。写真は「健康帝国ナチス」(草思社、2003年刊)。

副院長コメント: 米国に端を発した禁煙運動は、1930年代米国の禁酒法を想起させます。どういう政治的背景がそこにあったのかはよくわかりません。煙草ぷかぷか爺さん達が住むヒマラヤ山麓の100歳長寿村の近くに高速道路が建設されて以来、村民の寿命は縮まり癌まで発生してきた事実は以前述べました。禁煙よりも効果的なのは自動車や飛行機をなくすことですが、それは非現実的だから身近な標的が必要とされたようです。蛇足ながらチャーチルとルーズベルト、それにスターリンは愛煙家、ヒトラーとムッソリーニ、それにフランコは非喫煙家。
# 白い虚塔
 

旧帝大医学部外科学教室教授選を題材とした山崎豊子原作「白い巨塔」は映画化(山本薩夫監督、大映1966年)により日本中に知られることになりました。山本薩夫(1910-1983年)は「戦争と人間・三部作」(1970年、日活)、「華麗なる一族」(1974年、大映)、「金環蝕」(1975年、大映)などの傑作で知られた社会派映画監督。さらに「白い巨塔」はその後TVドラマ化され、財前五郎の名前はすっかり有名になりました。1967年東映制作・TV朝日、1978-79年フジTV、1990年TV朝日、そして2003年ー04年フジTV。一つの小説がこれだけリメイクされるのも珍しいことですが、2003年のTVドラマ化は1978年制作のものに新たな光を当てることとなりました。

副院長コメント: 大学病院は一昔前の「白い巨塔」時代とは異なった様相を呈してきています。国立大学医学部の独立行政法人化は、赤字大学病院の増加を招き、大学病院本来の機能である高度医療の提供、次代を担う医療人の教育と臨床研究にも赤信号がともっています。また新臨床研修制度導入は、研修医・医師不足に拍車を駆け大学医局そのものの崩壊の危機を招来しています。一部旧帝大のことはよくわかりませんが、少なくとも地方大学では巨塔どころか虚塔となりつつあります。
# 奥様お手をどうぞ
 

戦後最高のドイツのリリック・テノール、フリッツ・ヴンダーリッヒ(Fritz Wunderlich、1930-1966年)が9月26日に生まれています。36歳の誕生日を目前に階段から転落死。舞台でたびたび共演したフィッシャー=ディースカウの哀悼の言葉です 「一つの声が永遠に消えて行った。名声の絶頂に向かって山をかけ登っていた短命の名歌手のその声が---大きな希望であり、才能のある人物の出現が永く希求されていた声楽界にあっての、その成就でもあった。彼の永遠の沈黙は、それ故に、私達にとっての限りない衝撃であり悲しみである」。

副院長コメント: シューベルトの歌曲集、モーツァルトの歌劇での名唱はよく知られていることは以前紹介しましたが、ポピュラー・アルバムも何枚か残されています。特にお気に入りは、「トセリのセレナーデ」とコンチネンタル・タンゴの名曲「奥様お手をどうぞ」。写真はウィーンのミュージック・ショップ「ドブリンガー」で購入したピアノ伴奏用楽譜。

# じゃあ、フーガを書きたいの “So You Want to Write a Fugue?”
 

9月25日、鬼才グレン・グールド(Glenn Gould, 1932-1982年)生誕75周年を迎えました。1955年に録音したバッハの「ゴールドベルク変奏曲」で一躍スターダムへ。1964年を最後にステージから身を引いて、録音だけに集中しました。バッハの解釈で後世にも多大なる影響を与えた芸術家ですが、一般の人からみると、先ず奇人変人に属するピアニストです。

副院長コメント: グールド レコード・デビュー25周年記念アルバムというLPが発売されたことがあります(CBS、1980年発売)。スカルラッティの3つのソナタから始まるこのアルバムの中に収められているのが、グールドの自作 "So You Want to Write a Fugue?”。声楽、弦楽の各四重奏を用いており、ぜいたくなことにジュリアード四重奏団が参加しています。


 

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