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# 愛のセレナーデ
 

「ドリゴのセレナーデ」“Nottumo d’Amour”で有名なイタリアの作曲家ドリゴ(Riccardo Drigo, 1846-1930年)が6月30日誕生しています。20世紀に入りロシアのペテルブルグの劇場でバレエ音楽の作曲や指揮活動をしていましたが、ロシア革命以後は恵まれず故郷のイタリアへ戻りそこで没しています。「ドリゴのセレナーデ」の日本への輸入は昭和16-18年頃のようです。私が初めてこの曲を聴いたのはアーサー・フィドラー指揮ボストン・ポップス管弦楽団によるもので、今でも手元にあるのはこの一枚だけです。写真はレニングラード国立バレエ。

副院長コメント: ”窓を開きて わが歌聞きてよ 月はさやけし 愛しのマリア ---” これはナポリ民謡「マリア・マリ」”Maria Mari”の日本語歌詞(堀内敬三)ですが、月の明るい夜、恋人の窓の下で歌われた情熱的セレナーデの代表です。トセリもドリゴもたったひとつの名曲、それもセレナーデで後世に名を残したところがイタリア的なところでしょうか。

# アルルの女 “l’Arlesienne”
   

南欧の陽光が降りそそぐ街フランス・アルル(Arles)。ビゼー(George Bizet, 1838-1875年)とゴッホ(Vincent van Gogh, 1853-1890年)を彷彿とさせる街です。ゴッホの有名な「アルルの女」、「アルルの跳ね橋」、そして「アルルの寝室」は同一タイトルでそれぞれ数点異なる画が残されています。ゴッホが出入りしていたアルルのカフェー経営者「アルルの女(ジヌー夫人)」(1890年作、オルセー美術館蔵)。蛇足ながらアルル縁の二人ですが、ビゼーは37歳になる数ヶ月前、ゴッホは37歳になった数ヶ月後、それぞれ早世しています。

副院長コメント: 「アルルの女」組曲第1番・第2番では、クリュイタンス&パリ音楽院管弦楽団が、豊かな南仏の雰囲気、細部の入念な仕上げ、各楽器バランスの素晴らしさ、名人技のソロなど傑出した演奏と絶賛されています。さらには名人集団であるスーパー・オーケストラ、シカゴ交響楽団をジャン・マルティノンが指揮したディスクも光彩を放っています(RCA,1967-68年録音)。フランス的香気に、現代感覚と明晰さを加味した演奏といえます。写真はマルティノン(Jean Martinon, 1910-1976年)。

# 日本代表行進曲
 

日本を代表するマーチ「軍艦行進曲」の作曲者、瀬戸口藤吉(1867-1941年)が6月28日に生まれています。1903年から1917年まで海軍軍楽隊楽長を務めていますが、1897年に行進曲を作曲し1900年完成。この曲は1961年以降、海上自衛隊の儀礼曲となっています。日本の行進曲でその他お気に入りは「君が代行進曲」と「コバルトの空」でしょうか。吉本光蔵(1862-1907年)は1899年、海軍省からドイツへ留学。ベルリン王立高等音楽院在学中に作曲した「君が代行進曲」を、1907年病をおして演奏会で指揮し数日後に逝去しています。「コバルトの空」はTBS(当時はラジオ東京)スポーツ番組のテーマ音楽としてとしてハワイ出身のレイモンド服部(1907-1973年)が1951年に作曲。軽快で洒落たマーチです。

副院長コメント: 吹奏楽の雄フランスのギャルド吹奏楽団(1854年創設)黄金時代による録音が唖然とする巧さで光ります。管楽器の国フランスの面目躍如。高度な技術と色彩豊かな表現力、そして品格。来日時に録音した「軍艦行進曲」、「君が代行進曲」、そして「コバルトの空」も音楽的に高いレベルの演奏です(英EMI、1961年録音)。マーチとワルツを流して不快になる人はいないと聞いたことがありますが、毎日こればかりではたまりません。

# スペインへの憧憬
  

湿度が高い日本の梅雨です。こういう季節には、からりと晴れた南欧の空気をはこぶ音楽が聴きたくなります。フランスの作曲家達はスペインへの憧れを作品にしました。ラロ(Edouard Lalo, 1823-1892年)はスペイン交響曲、シャブリエ(Emmanuel Chabrier, 1841-1894年)は狂詩曲「スペイン」、そしてラヴェル(Maurice Ravel, 1875-1937年)は「スペイン狂詩曲」などをそれぞれ作曲しています。1882年、憧れのスペインを旅行したシャブリエは、帰国後スペイン的リズムと旋律が躍動する狂詩曲「スペイン」を作曲。小型天才シャブリエの面目躍如たる佳作です。尚、シャブリエがワーグナーを尊敬していた事実については最近まで知りませんでした。

副院長コメント: 洒落た感覚、軽快なリズム、華やかな色彩感。クリュイタンスやマルティノン同様、フランス的な洒脱味をもつピエール・デルヴォー指揮パリ音楽院管弦楽団による「シャブリエ管弦楽曲集」があります(英EMI)。写真はエドゥアール・マネ(Edouard Manet, 1832-1883年)のスペイン趣味の一点「スペイン舞踊」(1862年、米ワシントン・フィリップス・コレクション)。

# 酒の効用について Ⅳ
 

イタリアの研究グループが、適量アルコール摂取が軽度認知障害(MCI=mild cognitive impairment)から認知症への進展を抑制する可能性があることを発表しています(Neurol 2007; 68: 1790-9)。登録時に既にMCIが認められた121人(年齢65-84歳)の認知症への進展を前向き検討。平均追跡期間は3.5年。1日1杯未満(アルコールとして15g程度)の適度の飲酒をしている群は、飲酒の習慣が全くない群と比較して認知症へ進展する割合が85%低い結果となりました。MCI患者で、1日1杯以上飲む群と飲酒習慣が全くない群との間には、認知症進展への前述のような有意な関連は認められなかったとのことです。

副院長コメント: 1日1杯未満というのはアルコールを薬として飲む人の場合は可能でしょうが、一般的ではありません。また習慣的飲酒は心血管障害を起こしやすい早朝高血圧症の独立危険因子であることが最近報告されています。


 

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