2007-03-31 : 00:01 : ueta-fukuda
# コーヒーと糖尿病

コーヒー摂取が糖尿病の発症を低下させる可能性が以前より報告されていました。最近、糖尿病患者3,873名の前向き調査で、コーヒー1日3杯以上の摂取は、総死亡、心血管死亡、脳卒中死亡を有意に抑制したことがフィンランドの研究者達から報告されています(Diabetologia 2006; 49: 2618-26)。16世紀に入り、英国で大流行したコーヒーは、この頃ドイツにも入ってきて、同じく大流行しています。特に若い女性が飛びついたようです。J.S.バッハは厳粛な教会カンタータを約200曲作曲していますが、世俗カンタータも20数曲残されています。そのうちのひとつが「コーヒー・カンタータ」で、コーヒーばかり飲んでいる娘と、何とかそれを止めさせようとする父親のやりとりがユーモラスに描かれています---ああ、コーヒーは何て美味しいのでしょう。千回のキスよりも素敵で、ムスカート酒よりも甘い---人間的なバッハの一面がうかがえます。
副院長コメント: 私もコーヒーは1日4杯以上は飲んでいます。もっともアルコールもしっかり摂っていますので効果の程はどんなものでしょうか。写真はオランダ ロッテルダム生まれのリリック・ソプラノ歌手、エリー・アメリンク(Elly Ameling, 1933年 -)。可憐で透明な声質が特徴で、主に歌曲の世界で活躍しました。
2007-03-30 : 00:01 : ueta-fukuda

2006年、「癒しのモーツァルト」というCDがベストセラーになっているというレコードショップの広告を見たことがあります。曲目、調性、演奏者などによって、その音楽的内容には多彩なものがあると思いますが、モーツァルトの音楽は3000ヘルツ以上の高周波をもち、そのことが脳の活性化や、免疫能の維持向上に寄与しているとの専門家の話です。モーツァルトによる音楽療法に関する本も幾つか出版されています。
副院長コメント: 昨年はモーツァルト生誕250周年を記念して大々的にCDや本のキャンペーンが世界中でありました。考えてみますと、西欧人は何百年にわたり、モーツァルトやシューベルトの音楽に親しんできました。いわゆる、わが町の音楽で、その血が何代にもわたり伝えられてきています。一方、我が国におけるモーツァルトの音楽は戦後になってやっと広く知られるようになりました。すなわち、モーツァルトの洗礼を受けた世代がやっと数世代になったという浅い歴史しかありません。一部クラシック音楽愛好家や、モーツァルト音楽への感性受容体がある人を除き、まだ日本リートの女王・美空ひばりの歌の方が効能があるかもしれないなどと考えています。写真はモーツァルトの生まれかわりみたいなピアニスト、ワルター・ギーゼキング(Walter Gieseking, 1895-1956年)です。
2007-03-29 : 00:01 : ueta-fukuda

アブラナ科野菜に胎仔の癌予防効果の研究報告。アブラナ科野菜から発見された植物由来化学物質インドール-3-カルビノール(I3C)を含むサプリメントが、マウスにおいて短期および長期的に有意な化学的癌予防効果を示すことが米オレゴン州立大学の研究グループより報告されました(Carcinogenesis 2006; 27: 2116-23)。典型的アジア料理のようにアブラナ科が多い食事に含まれるI3C濃度は、恐らく化学的予防効果を示しながらも安全圏内の濃度と考えられています。よく食べられているアブラナ科野菜はブロッコリー、芽キャベツ、キャベツ、チンゲンサイ、カリフラワー、マスタード、カブなどです。その他ワサビダイコン、ワサビ、ラディッシュ、クレソンなどがあります。
副院長コメント: アメリカからのこの種の研究報告は後を絶ちません。毎日キャベツを食べても構いませんが、これはあくまでも動物実験であり人間ではどうかわかりません。私自身は好きな野菜は何でも食べた方がいいと考えていますし、アブラナ科野菜摂取だけで癌の予防効果があるとは思えません。遺伝的因子・環境的因子の方がより比重を持っていると考えています。写真はピカソ画。下の写真は私の洗面所の壁に飾ってあり、もう30年近いつきあいです。
2007-03-28 : 00:01 : ueta-fukuda
# ゼルキンの皇帝

ベートーヴェンを核としたドイツ音楽の名ピアニスト、ゼルキン(Rudolf Serkin, 1903-1991年)が、3月28日ボヘミアに生まれています。ピアニストとしての後半生を米国で過ごしたゼルキンは、レコードやCDでは私には馴染みが薄いピアニストに属しますが、実演に二度接しています。プログラムは何れもベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」。一度目は1979年10月のNHK交響楽団の定期演奏会。好々爺然としたゼルキンがステージに登場した時、小柄で品がいいお爺さんという印象でしたが、曲が開始されるやいなや、全身からほとばしる熱気が会場全体を覆いました。徐々に気持ちが乗ってくると跳ねるようにしてピアノを弾く姿。まさに熱演でした。N響定期では、ホルスト・シュタインのワーグナー・プログラムと並んで、私が最も感動したコンサートです。二度目はシカゴ・オーケストラ・ホール。1988年9月、シカゴ交響楽団定期演奏会のオープニングを飾ったのが、これまた「皇帝」。バックを受け持つのはゲオルク・ショルティ指揮シカゴ交響楽団。ステージ前面を赤い薔薇の花が飾り、休憩時間にはシャンペン(スパークリング・ワイン?)がふるまわれました。9年前と比べ、技巧的衰えは隠せませんでしたが、ゼルキンの気迫がすべての不満を凌駕しました。
副院長コメント: ゼルキンの素晴らしい「皇帝」を二度も経験できた私は本当に幸せ者です。
2007-03-27 : 00:01 : ueta-fukuda

3月26日はもうひとつ大事なことがあります。以前紹介しましたが、洗練された音楽性をもつクリュタンス(Andre Cluytens, 1905-1967年)がベルギーのアントワープに生まれています。フランス人指揮者のイメージが強いのですが、その風貌は金髪碧眼、フランス人というよりは、ドイツ人か北欧人を想わせるもので、クリュイタンスの音楽的教養はフランス的であるのと同じぐらいドイツ的です。クリュタンスはフランス音楽のスペシャリストとしての評価が絶大ですが、彼が名声を築いたのはワーグナーやベートーヴェンの音楽です。1950年代終わりから60年代初めにかけて、ベルリン・フィルハーモニー(BPO)とベートーヴェン交響曲全集を英EMI に録音しています。「ラテンとゲルマンの幸福な結合」と賞賛された名盤で、一人の指揮者がBPOを指揮してベートーヴェン交響曲全集を完成したのはクリュイタンスが最初です。フルトヴェングラー亡き後、BPO終身指揮者となったカラヤンが、よくぞこの企画を承知したものだと不思議でたまりませんでしたが、英EMIの廉価盤レーベルSERAPHIMから発売するという政治的決着があったのではと推測しています。それはともかく、交響曲第2番、第4番、第6番「田園」は名演です。第2番では第2楽章の端正な美しさが無類です。第4番は「英雄」と「運命」の間に位置しており、シューマンは「二人の北国神話の巨人の間に立つ美しいギリシャの乙女」と呼んでいますが、ロマン的傾向も強く、無窮動風のフィナーレが圧巻です。第6番「田園」は交響曲全集中、発売当時より名演の誉れ高いディスクです。第5楽章の管と弦の織りなす牧歌は至福の空間をはこびます。
副院長コメント: クリュイタンスいいですね。洗練、高貴、端正という表現が似合う指揮者だと思います。
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