2010-02-08 : 00:21 : ueta-fukuda
# ホーホケキョ

昭和5(1930)年2月初8。空青々と晴れ渡り、窓の外なる椎の梢(こずえ)をわたる風いかにも春らしき心地する折から、珍しくも崖の竹林に鶯(うぐいす)の声をききぬ。近年山の手も熱とうの下町と変わりなく表通りには自動車の音空中には飛行機の響さわがしくなりて、花咲けども鳥の声をきくこと稀になりぬ。然るに今朝思ひかけず頻りに鶯の囀(さえず)るをきく。わがよろこび限りもなし。覚えず駄句を得たり。
鶯や 雪まだ残る 崖の道
東風(こち)吹くや 晴れ行く空の ちぎれ雲
雪解けや 竹のそよぎも 春の風---永井荷風「断腸亭日乗」(荷風散人年52)。
院長コメント: 鶯の囀りに久々心洗われた荷風の日記の一部を抜粋。鶯は平地で鳴き始める季節が早春であることから、別名は春告鳥(はるつげどり)。 本州中部あたりでは 2月初旬頃からさえずり始め、 8月下旬頃までがよく聞かれるとのこと。また、日本では、鶯と目白をしばしば混同。梅に鶯ではなく、実際には梅の蜜を吸いに来るのは目白であり、藪の中で虫を食べる鶯はそのような姿で見かけられることはまずないとのこと。写真は鶯と目白。
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