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# 疎開日記
 

カバンと風呂敷包とを振分にして担ぎ外に予が先日送りたる籠を提げ、醤油色の手拭を持ち背広にカラなしのワイシャツを着、赤皮の半靴を穿きたり。焼け出されてこれが全財産なりとの事なり。然れども思った程やつれても居られず、中々元気なり---谷崎潤一郎「疎開日記」。

院長コメント: 永井荷風は昭和20年6月、岡山へ疎開。8月13日、荷風は谷崎が滞在する勝山町へ向かいます---8月14日晴。朝七時谷崎君来り東道して町を歩む。二、三町にして橋に至る。渓流の眺望岡山後楽園のあたりにて見たるものに似たり---荷風「断腸亭日乗」。荷風2泊3日の勝山滞在中、谷崎は出来る限りの饗応をしました。その時の献立は---8月13日の昼食 佃煮むすび/夕食 白米、豆腐汁、町の川で取ったという小魚三尾、胡瓜もみ。14日の昼食 小豆餅米にて作った東京風赤飯/夕食 すき焼き、日本酒。15日の朝食 鶏卵、玉葱の味噌汁、はや小魚つけ焼き、茄子の香の物/昼食 白米のむすび、昆布佃煮及び牛肉---谷崎の心遣いに対して最大級の賛辞が日記に記されています。写真は偏奇館焼け跡から奇跡的に見つかった「断腸亭」印。


 

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