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# 関節リウマチ(RA)とアルコール


飲酒が身体の免疫反応を弱めることにより、関節リウマチ(RA)の予防に有効である他、既に自己免疫疾患を発症している人で症状増悪防止の可能性を報告(Rheumatol、オンライン版7月28日)。米テキサスA&M健康科学センター大GF博士によると、この知見は新しいものではなく、これまでにも同様の論文はあったが、RA予防のための飲酒は推奨しないというもの。研究の筆頭著者英国のJM博士も今回の知見は初期段階のもので、RAの治療目的での飲酒は勧められないし、政府推奨の飲酒量限度に注意して欲しいと付言。研究では、健康な被験者1,004人、関節リウマチ患者873人を対象に、全く飲酒しない群、月1-5日の飲酒群、月6-10日の飲酒群、それ以上の頻度の飲酒群の4群に分類。その結果、アルコール摂取頻度が高いほどRAの程度が軽いことが判明。最も飲酒の頻度が低い群でも、全く飲まない人に比べると有意差ありの結果。全く飲酒しない群は、RAのリスクが最も頻繁に飲酒する群の4倍。また、飲酒の頻度が高いほどRAの症状が少ない傾向。

院長コメント: アルコールは関節の炎症をもたらす免疫反応を低下させる他、穏やかな鎮痛作用を有しているなどの考えもあるようですが、今回の研究ではアルコールの摂取量ではなく摂取頻度について評価しているため、どの程度の量のアルコールが有効であるかは不明。
# アルツハイマー病(AD)と嗅覚異常
 

物忘れなどの症状が極めて少ない早期のアルツハイマー病(AD)を、匂いの検査で見分ける手法を鳥取大研究グループが開発。ADに根本的な治療法はありませんが、投薬や非薬物療法を早く始めることで、病気の進行を食い止める効果が高くなるとしています。ADでは、症状が目立たないごく早期から嗅覚異常が現れることが知られており、これを応用した検査の実用化が急務。研究グループは、日本人に馴染みのある匂いを選ぶなどの工夫で、ごく早期での病気の判別を可能に。グループが採用したのはヒノキやメントールなど12種類。認知症の簡易テストや診察で早期ADとされた平均約80歳の早期患者33人と年齢の近い非患者40人で匂い検査を実施。12種類のうち5種類以下しかかぎ分けられなかった人を「異常あり」と判定。認知症簡易テストで病気と判定できないごく早期患者では85%に嗅覚異常出現。

院長コメント: ADの呼称は、ドイツの精神科医アルツハイマー(Alois Alzheimer, 1864-1915年)に由来。ADは物忘れなどを中心とした認知症の原因の一つ。脳の細胞が脱落して、記憶や認知機能に障害を惹起。現在特効薬なし。食習慣では、魚、野菜果物、赤ワインなどの摂取が本症の発症を抑えることが判明。また、運動習慣、知的生活習慣も発症の危険を下げると言われています。
# 早期閉経と関節リウマチ(RA)


関節リウマチ(RA)は女性に多く、ホルモン分泌とその変化がRA発症に何らかの関与をしている可能性ありとの北欧スウェーデンからの報告。Skane大MP氏らは、45歳以下で早期閉経した女性では、性・年齢などが一致した対照群に比べ、RA発症率が約1.9倍と高いことを報告。MP氏らは、1991-96年に地域健康調査に組み入れた男女30,447人(女性18,326人)を対象にアンケートを実施、女性に対しては授乳や閉経について質問。データベースを分析し、健康調査への登録以降にRAを発症した女性(n=136)を抽出、症例対照研究を実施。対照群(n=544)は、RA患者1人について、年齢、調査組み込み時点を一致させた非RAの生存女性4人を割り付。平均年齢は、RA群が57.9歳、対照群が58.0歳。閉経年齢は、RA群が47.9歳、対照群が49.2歳。閉経時期が45歳超の正常女性を1として、閉経が45歳以下の早期閉経女性のRA発症の危険比を求めたところ、喫煙、教育程度、授乳期間などで調整後の危険比は1.92。

院長コメント: MP氏は、RA発症機序にホルモンがどう関わるかは今のところ不明としながらも、閉経期は複数のホルモン分泌が変化することが知られており、女性のRA発症のピークも閉経時期または閉経直後になると指摘、ホルモンの関与を強く示唆しています。何れにしろ、閉経周辺はホルモン環境や自律神経バランスが崩れやすく、自己免疫機構や局所免疫機構の均衡も崩れ疾病発生が高くなるのかも。
# 男性更年期障害


男性において、加齢による男性ホルモン値の低下がどのような臨床症状をもたらすかについては議論があるところ。英Manchester大FW氏らは、遅発性性腺機能低下症の定義を明らかにするために、一般中高年男性の男性ホルモン値とさまざまな症状の関係を調査。その結果、男性ホルモン値の低下、早朝勃起不全などの性的症状が存在することが最も基本的定義になることを示唆(NEJM誌電子版2010年6月16日)。研究対象は、英、白、諾、洪など40-79歳の男性3369人(平均年齢59.7歳)。男性ホルモン不足に起因する可能性がある32の症状の有無を質問し統計学に解析。以下に挙げる9つの症状について、症状あり群となし群の測定値の間に有意差ありと結論:①性的な3症状(早朝勃起の減少、性欲減退、勃起不全)、②身体的な3症状(ランニング、重い物を持ち上げる、激しいスポーツに参加するなどの精力的な活動が困難、1km超の歩行が困難、膝や腰を曲げることが困難)、③心理的な3症状(元気がない、落ち込み、疲労感)。

院長コメント: 以前からの私の持論では、男性ホルモン値は一部芸術家に代表されるように大脳官能細胞の活性度と洗練度に依存。無論、先天性のものもあります。写真はフランスの画家ルフェーブル画「朝顔の花をつけたニンフ」。
# バイアグラと聴覚機能低下


ホスホジエステラーゼ(PDE)5阻害薬は勃起障害(ED)治療薬として普及していますが、その一方副作用として聴覚機能低下の危険性を指摘。米アラバマ大GM氏は、PDE5阻害薬と聴覚機能低下との関連性を検討した研究結果を報告(Arch Otolaryngol Neck Surg,2010; 136:488-92)。即ち、有意な関連性が認められたのは同系列薬品のシルデナフィル(商品名バイアグラ)のみ(危険比は2.05)。今回の研究は、40歳以上の男性11,525人を対象とした自己申告による調査。対象者のうち、PDE5阻害薬使用と聴覚機能低下を自己申告したのはそれぞれ17.9%と2%。GM氏らは先ずPDE5阻害薬の使用率と聴覚機能低下との関連性を検討。その結果、聴覚機能低下を申告した群では、申告しなかった群よりも同薬の使用率が高いことが判明(危険比2.23)。さらに、PDE5阻害薬の種類ごとに検討した場合、薬剤使用と聴覚機能低下の有意な関連性はシルデナフィルのみに認められ(危険比2.05)、タダラフィル(商品名シアリス)とバルデナフィル(同レビトラ)では認めず。

院長コメント: 対象者のシアリスとレビトラの使用率が低かったこと、自己申告によるデータ収集の信頼性が研究の限界点に挙げられているように、今後さらなる研究が必要。まあ、世間のバイアグラ愛好家への警鐘といったところでしょうか。写真は、北欧スウェーデンの画家アンデルス・ソーン(Anders Zorn、1860–1920年)の「サウナ浴の女性」 (Women bathing in the sauna)、1906年製作。

 

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